共働き夫婦が実践する 忙しい日々でも「大切な時間」を確保する時間の使い方と見直し方
はじめに:時間がない、その悩みに寄り添う
共働きで育児と家事を両立されている多くのご夫婦は、「時間がない」という悩みを抱えているのではないでしょうか。仕事から帰宅すれば、すぐに夕食の準備、子供のお世話、入浴、寝かしつけと続き、あっという間に一日が終わります。自分のためだけの時間、パートナーとじっくり話す時間、何もせずただ休息する時間。そういった「大切な時間」は、日々のタスクリストの後回しにされがちです。
しかし、こうした「大切な時間」が失われていくことは、心身の疲労を蓄積させ、夫婦間のすれ違いを生み、孤立感を深める原因となる可能性も否定できません。日々の忙しさに飲み込まれる前に、一度立ち止まり、ご自身の、そしてご夫婦での時間の使い方を見直してみる価値は十分にあります。
この記事では、共働き夫婦が忙しい毎日の中でも「大切な時間」を意識的に確保し、より充実した両立生活を送るための具体的な時間の使い方と見直しのヒントをご紹介します。
なぜ「時間がない」と感じるのか?忙しさの構造を理解する
「時間がない」と感じる背景には、いくつかの要因が考えられます。
1. タスクの絶対量の多さ
仕事、育児、家事。これら全てを完璧にこなそうとすると、物理的に時間が足りなくなります。想定外の子供の体調不良や保育園からの呼び出しなど、不測の事態も頻繁に発生します。
2. 優先順位の不明確さ
何から手をつけるべきか、何が本当に重要なのかが曖昧になると、目の前のタスクに追われるばかりで、本当にやりたいことや必要な時間に手が回らなくなります。
3. 非効率な時間の使い方や習慣
無意識のうちに行っている非効率な作業、ついダラダラとスマートフォンを見てしまう習慣などが、貴重な時間を奪っていることがあります。
4. 夫婦間での時間の使い方や価値観の共有不足
お互いが何に時間を費やしているか、何に時間を使いたいと思っているかを共有できていないと、協力体制が築きにくく、どちらか一方に負担が偏る原因にもなります。
「大切な時間」を確保することの価値
失われがちな「大切な時間」ですが、それを意識的に確保することは、両立生活の質を向上させるために不可欠です。
- 心身のリフレッシュ: 一人で静かに過ごしたり、趣味に没頭したりする時間は、日々のストレスから解放され、心の余裕を取り戻すために重要です。
- 夫婦関係の維持・向上: パートナーと二人の時間を持つことは、日中の出来事を共有したり、お互いを労ったり、将来について話したりする貴重な機会です。これは夫婦の絆を深め、協力体制を強化する上で欠かせません。
- 育児への良い影響: 心に余裕を持って子供と向き合うことは、子供の小さな変化に気づいたり、より穏やかに接したりすることに繋がります。
- 自己肯定感の維持: 自分のために時間を使うことは、「自分を大切にしている」という感覚をもたらし、忙しさの中で失われがちな自己肯定感を保つのに役立ちます。
忙しい日々でも「大切な時間」を確保するためのステップ
ステップ1:現状把握 - 時間の使い方を「見える化」する
まずは、自分が何にどれくらいの時間を費やしているのかを客観的に把握することから始めましょう。1週間程度、簡単な記録をつけてみるのが有効です。
- 記録する項目例: 仕事時間(通勤含む)、育児時間(授乳、おむつ交換、遊び、送迎など)、家事時間(料理、掃除、洗濯など)、睡眠時間、通勤時間、その他(スマートフォン、テレビ、移動など)。
- 夫婦で共有: 可能であれば、ご夫婦それぞれが記録し、お互いの時間の使い方を共有してみてください。「相手はこういうことに時間をかけているんだな」と理解することで、協力のヒントが見つかることもあります。
ステップ2:優先順位設定 - 「大切な時間」を定義し、意識する
ご夫婦で話し合い、「何に時間を使いたいか」「どんな時間が自分たちにとって大切か」を具体的に定義してみましょう。
- 「大切な時間」の具体例:
- 一人で読書する時間
- パートナーとゆっくり夕食をとる時間
- 趣味や習い事の時間
- 何もせずただぼーっとする時間
- 夫婦で将来について話し合う時間
- 優先順位: 日々のタスク(仕事、最低限の家事・育児)に加えて、定義した「大切な時間」を意識的に優先順位の上位に置く練習をします。
ステップ3:時間の捻出 - 「削る」「効率化する」「任せる」の視点
時間の使い方を把握し、優先順位を定めたら、具体的な時間の捻出方法を検討します。
- 「削る」:
- 「やらないことリスト」を作る: 全てを完璧にこなすのは無理です。「やらなくても大丈夫なこと」や「頻度を減らせること」をリストアップし、勇気を出して手放してみましょう。例:毎日ピカピカに磨かない、SNSを見る時間を制限する。
- 買い物の回数を減らす: 週に一度のまとめ買いやネットスーパーの活用で、買い物にかかる時間を削減できます。
- 「効率化する」:
- ルーティンの見直し: 朝の準備、帰宅後の動きなど、日々のルーティンに無駄がないか確認し、効率化できる手順を探します。
- 家事の同時進行: 食事をしながら洗濯機を回す、子供が遊んでいる横で簡単な片付けをするなど、複数のタスクを同時に進める工夫をします。
- 隙間時間の活用: 通勤中や子供のお昼寝中など、短い隙間時間も有効活用できないか考えます。例:メッセージの返信、献立を考える。
- 「任せる」:
- パートナーとの協力: 家事や育児のタスク分担を見直し、一方に負担が偏らないように調整します。お互いの得意・不得意や時間の状況に合わせて柔軟に対応することが大切です。
- 外部サービスの活用: 家事代行、食材宅配、一時保育など、必要に応じて外部サービスを利用することも検討しましょう。時間をお金で買うという視点を持つことも重要です。
ステップ4:確保した時間の活用 - 短時間でも質を高める工夫
時間の捻出は、単にタスクを減らすことだけが目的ではありません。確保できた「大切な時間」をどのように使うかが重要です。
- 自分時間: 15分でも良いので、意識的に一人になる時間を作ります。好きな飲み物を飲む、短い瞑想をする、少しだけストレッチするなど、心身がリラックスできることに時間を使います。
- 夫婦時間: 子供が寝た後、短い時間でも良いので二人で過ごす時間を作ります。お茶を飲みながら今日の出来事を話す、週末の計画を立てるなど、特別なことをする必要はありません。日々の小さなコミュニケーションを大切にすることで、お互いの孤立感を防ぎ、安心感に繋がります。
ステップ5:定期的な見直し - 柔軟な対応と継続のために
一度見直しを行っても、子供の成長や仕事の状況によって必要な時間の使い方は変化します。定期的に(例えば月に一度など)ご夫婦で時間の使い方や優先順位について話し合う機会を持つことをお勧めします。うまくいかなかったこと、新しく挑戦したいことなどを共有し、柔軟に調整していくことが、持続可能な両立生活の鍵となります。
まとめ:完璧ではなく、意識することから
共働きで育児をしながら働く日々は、多くのタスクと責任が伴います。全てを完璧にこなそうとすると、心身が疲弊してしまいます。「時間がない」と感じたときは、ご自身やご夫婦にとって本当に「大切な時間」は何かを問い直し、少しずつでもその時間を確保するための工夫を始めてみてください。
時間の使い方を見直す過程で、パートナーと話し合うことでお互いの理解が深まることもあります。完璧を目指す必要はありません。今日からできる小さな一歩、例えば「毎日5分だけ何も考えない時間を作る」や「週末にパートナーと今日の出来事を一つだけ共有する時間を作る」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
この見直しが、忙しさの中に埋もれがちなご自身やご夫婦の「大切な時間」を取り戻し、より穏やかで充実した両立生活を送るための一助となれば幸いです。