共働き夫婦が知っておきたい 両立生活で自己肯定感を守り育む方法
共働きで仕事、育児、家事と日々多忙を極める中で、「自分はこれで良いのだろうか」「何もかも中途半端になっているのではないか」と、ご自身の価値や能力に対して自信を持てなくなる瞬間はありませんか。
両立生活は多くの役割を同時に担うため、努力が報われないと感じたり、思い通りにいかないことばかりに目がいってしまったりして、自己肯定感が揺らぎやすい環境ともいえます。しかし、自己肯定感は、心の安定や日々の充実感に深く関わる大切なものです。
この記事では、両立生活の中でなぜ自己肯定感が揺らぎやすいのかを掘り下げ、それを守り、さらに育んでいくための具体的な考え方や実践方法についてご紹介します。
なぜ両立生活で自己肯定感が揺らぎやすいのか
仕事も育児も家事も、どれも責任があり、求められることも多い領域です。その全てにおいて「完璧を目指さなければ」という無意識のプレッ縛りや、周りの家庭や同僚と比較してしまうことから、自分には何かが足りないように感じてしまうことがあります。
また、物理的な時間の制約がある中で、思うように成果が出せなかったり、子供の予期せぬ体調不良で計画が崩れたりすることは日常茶飯事です。こうしたコントロールできない状況が続くと、「自分には能力がない」「うまくこなせない」といったネガティブな自己評価に繋がりやすくなります。
さらに、ご自身の時間や心の余裕がないと、内省したり、自分の頑張りを認めたりする機会も減ってしまいます。孤立感を感じやすい状況も相まって、知らず知らずのうちに自己肯定感がすり減ってしまうことがあるのです。
自己肯定感を守り育むための実践的な方法
両立生活の中で自己肯定感を健全に保つためには、意識的な取り組みが必要です。ここでは、日常生活の中で取り入れられるいくつかの方法をご紹介します。
小さな成功体験を見つけ、意識的に認める
大きな成果を上げることは難しくても、日々の小さな「できたこと」に目を向けてみましょう。例えば、「今日の夕食は15分で作れた」「子供が楽しそうに絵本を読んでくれた」「仕事で一つタスクを完了できた」など、些細なことでも構いません。
達成したことを意識的に認識し、「自分は頑張っているな」「これもできた」と声に出したり、心の中で認めたりすることで、積み重ねが自信に繋がります。簡単な「できたことリスト」をメモしておくのも有効です。
「完璧主義」を手放し、「これで十分」を許す
両立には常に時間の制約が伴います。全てのことを完璧にこなすことは現実的ではありません。時には、理想のレベルに達しなくても「これで十分」「最低限はクリアできた」と自分に許可を出すことが大切です。
家事が少々手抜きになっても、子供と過ごす時間が短くても、その中で最大限できたこと、頑張った自分を認めましょう。完璧ではない自分を受け入れることで、心の負担が軽減され、自己肯定感を保つことができます。
他人やSNSとの比較から距離を置く
SNSなどで見かける他者の生活や成功は、切り取られた一部であることがほとんどです。それとご自身の状況を比較しても、正確な評価はできませんし、劣等感を感じる原因になりがちです。
意識的にSNSを見る時間を減らしたり、自分と他人を比較しそうになったら意識をそらしたりする練習をしてみましょう。比べるべきは過去のご自身であり、ご自身のペースで成長している点を認め、焦らないことが大切です。
自分自身の価値を、役割の外に見出す
あなたは、親である、会社員である、といった役割だけでなく、一人の人間として素晴らしい価値を持っています。両立生活に追われると、つい役割の中での評価ばかりを気にしてしまいがちですが、ご自身の趣味や興味、得意なこと、あるいは優しい心や誠実さなど、人間性そのものが持つ価値に改めて目を向けてください。
役割から離れた場所にご自身のアイデンティティや価値を見出すことで、両立がうまくいかない時でも、自分自身の根幹が揺らぐことを防ぐことができます。
ネガティブな感情や思考を受け流す練習をする
「どうせ私にはできない」「また失敗してしまった」といったネガティブな感情や思考が浮かんできたら、それを否定したり抑えつけたりするのではなく、「あ、今こんな風に感じているな」と客観的に観察する練習をします。
感情や思考は一時的なものであり、それが自分自身の全てではないと理解することで、ネガティブな波に飲み込まれることを防ぎやすくなります。マインドフルネスの考え方を取り入れることも有効です。
信頼できる人に話す、弱さを見せる
一人で悩みを抱え込まず、パートナーや友人、家族など、信頼できる人に今の気持ちを話してみましょう。話すこと自体で気持ちが整理されることもありますし、共感してもらうことで孤立感が和らぎ、「一人じゃないんだ」という安心感を得られます。
完璧な自分だけを見せようとせず、時には弱さを見せる勇気を持つことも、健全な自己肯定感を育む上で重要です。
自分を労わる時間を作る
どんなに忙しくても、ご自身のための時間を意識的に確保してください。短い時間でも、好きな飲み物を飲む、静かな場所で一息つく、趣味に触れるなど、心が安らぐ時間を持つことが、すり減った自己肯定感を回復させる手助けになります。
こうした時間は決して「手抜き」や「怠慢」ではなく、両立生活を続けるために必要な「自分への投資」であると捉えましょう。
パートナーとの連携が自己肯定感に与える影響
共働き夫婦の場合、パートナーとの関係性も自己肯定感に大きく影響します。互いの努力を認め合い、感謝の気持ちを伝え合うこと。困難な状況を共有し、共に乗り越えようとすること。そして、弱音を吐ける安全な関係であること。
パートナーとの健全な連携は、「自分は一人ではない」「受け入れられている」という感覚を育み、自己肯定感を下支えしてくれます。日頃からオープンなコミュニケーションを心がけ、「チーム」としてお互いをサポートし合う意識を持つことが大切です。
まとめ
仕事、育児、家事の両立は、多くの挑戦と向き合う日々です。その中で自己肯定感が揺らぐのは、決してあなただけではありません。それは、あなたが多くの責任を背負い、真剣に取り組んでいる証拠でもあります。
完璧を目指さず、ご自身の小さな頑張りを認め、他人との比較から距離を置き、自分自身の価値を多角的に捉えること。そして、周りのサポートも借りながら、ご自身を労わる時間を持つこと。これらはすべて、両立生活の中で揺らぎがちな自己肯定感を守り、強く育んでいくための大切なステップです。
ご自身のペースで、できることから一つずつ試してみてください。両立は「こなす」ことだけでなく、「自分らしく生きる」ことでもあります。自己肯定感を大切にしながら、ご自身にとって最善の両立の形を見つけていくことを応援しています。